けんせつる
ヒービングってボイリングと何が違うの?どんな地盤で起きる?どうやって防ぐの?
この記事の要点
ヒービングとは、山留め掘削時に掘削底面が周囲の地盤の重量に押され、隆起する現象です。粘性土(粘土質)地盤で発生しやすく、ボイリング(砂質地盤・地下水圧による噴砂)とは発生メカニズムが根本的に異なります。
安全率が不足すると山留め壁が内側に倒れ込む崩壊につながります。施工管理では設計段階の安全率確認と、掘削中の底面・山留め壁の変位監視が重要です。
軟弱地盤での深い根切り工事では、ヒービング・ボイリング・盤ぶくれの3現象が混在して議論されます。
3つとも「掘削底面が不安定になる」現象ですが、発生する地盤・原因・対策がそれぞれ異なります。
ここでは施工管理の視点で、それぞれの違いと現場での確認ポイントを整理します。
山留め壁を使って地盤を掘削していくと、掘削した側(内側)と掘削していない側(外側)で地盤に高低差が生まれます。
外側は地盤面が高いため、その重量が山留め壁を通じて掘削底面に圧力をかけます。
この圧力が掘削底面の地盤の支持力(せん断強度)を超えると、底面が盛り上がる(隆起する)わけです。
ザックリ言えば、「掘れば掘るほど、外側の土が内側の底面を押し上げようとする」のがヒービングです。
粘性土(粘土質地盤)はせん断強度が低く変形しやすいため、特に発生しやすい地盤なんです。
底面が隆起すると、山留め壁が内側に引っ張られる形になり、山留め壁や切梁に過大な変位・応力が発生します。
最悪の場合、山留め壁全体が内側に倒れ込む崩壊(全体崩壊)につながります。
底面隆起の初期段階では、掘削面が「ぷっくりと盛り上がる」状態が目視で確認できます。
進行すると山留め壁の変位が急増し、切梁・腹起しに過大な力がかかって座屈・破断するリスクがありますね。
ヒービングの安全率(Fs)は、掘削底面の支持力を外側の地盤重量(押し力)で割って算出します。
一般的に安全率はFs ≧ 1.2を確保することが目安とされています。
施工管理者として確認すべきなのは、設計図書(山留め設計計算書)にヒービングに対する検討が行われているかどうかです。
計算書に記載されているFs値が1.2以上であることを着工前に確認します。
また、掘削を進める中で計画以上に軟弱な地盤が出てきた場合は、設計者・地盤担当者へ報告して再計算が必要かどうかを判断します。
ヒービングの兆候は掘削中に現れます。以下のポイントを監視します。
底面隆起が確認された場合の対処手順は以下です。
混同しやすい用語の整理
ヒービング:粘性土(粘土質)地盤で発生。外側の地盤重量が底面のせん断強度を超えて隆起する現象。地下水とは直接関係しない。対策は地盤改良・山留め壁根入れ増加。
ボイリング:砂質地盤で発生。地下水の上向き水圧(浸透水圧)が土の有効応力を超えて砂が液状化・噴出する現象。対策は地下水位低下(ウェルポイント等)・止水矢板の根入れ。
盤ぶくれ:掘削底面下に被圧地下水層がある場合、水圧で底面が持ち上げられる現象。地下水圧が原因だが、噴砂は伴わない点がボイリングと異なる。対策は排水工による水圧低減。
→ 3つとも「底面が不安定になる現象」ですが、発生する地盤・原因・対策がそれぞれ異なります。
ヒービングが発生しやすい地盤の種類は?
粘性土(軟弱粘土質)地盤。せん断強度が低く変形しやすいため、掘削時の底面隆起が起きやすい。
ヒービングとボイリングの最大の違いは何か?
発生する地盤が異なる。ヒービングは粘性土地盤で地盤の剪断破壊による隆起。ボイリングは砂質地盤で地下水の上向き水圧による砂の噴出(流砂)。
ヒービングに対する安全率の一般的な目安はいくらか?
Fs ≧ 1.2(一般的な目安値)。
ヒービング対策として有効な工法を2つ挙げよ。
①地盤改良(深層混合処理・高圧噴射攪拌工法等)による底面地盤のせん断強度向上。②山留め壁の根入れ深さを増加させ、底面側での壁の抵抗力を高める。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考資料
・地盤工学会「山留め設計施工指針」
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
ヒービングで怖いのは「進行が目に見えにくい初期段階」です。底面がじわじわと盛り上がっていても、掘削作業に夢中な現場では気づかないことがあります。
軟弱粘性土地盤での深い掘削では、朝一番に底面の状態を目視確認する習慣を作ることが大切です。計測値が徐々に増えているなら、それはすでに危険サインです。