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石綿(アスベスト)事前調査の義務とは?施工管理で押さえる手続きの流れ

けんせつる

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石綿(アスベスト)事前調査の義務って何?どんな場面で使うの?

この記事の要点

建築物の解体・改修工事前には、石綿(アスベスト)含有建材の有無を確認する事前調査が義務付けられています(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)。2023年10月以降は資格を持つ調査者が実施しなければなりません。

石綿含有建材はレベル1~3に分類されます。レベル1・2の作業を行う場合は、作業開始の14日前まで都道府県知事等へ届出が必要です。

石綿(アスベスト)は、かつて断熱材・防火材・防音材として広く使われた建築材料です。

吸引すると中皮腫・肺がん等の重篤な疾患を引き起こすため、現在は製造・使用が禁止されています。しかし1975年以前に建設された建物には石綿含有建材が使用されている可能性が高く、解体・改修工事前の調査が義務化されています。

また、作業主任者(石綿作業主任者)の選任も必要です。

どの工事でアスベスト調査が義務になるか

石綿事前調査(石綿含有建材調査)は、次の工事を行う前に実施する義務があります(石綿障害予防規則第3条)。

規模の大小にかかわらず、解体・改修工事を行う場合は原則として全件が調査対象です。

ただし、建材に石綿が含まれていないことが明らかな場合(竣工が石綿使用禁止以降の建物等)は一部省略が認められます。

ザックリ言えば、「古い建物を壊す・直す前には必ず調査しなさい」ということです。

なぜ2023年10月から資格者しか調査できなくなったか

2023年10月1日以降、建築物の石綿事前調査は建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ者が実施することが義務化されました(石綿障害予防規則第3条第4項)。

なぜかというと、調査の精度にばらつきがあり、見落としによって石綿が飛散する事故が続いていたからです。

資格の種類と対象建築物

資格の種類対象建築物
一般建築物石綿含有建材調査者一戸建て住宅以外の建築物(事務所・工場・マンション等)
一戸建て等石綿含有建材調査者一戸建て住宅・共同住宅の住戸(一般調査者も実施可)
特定建築物石綿含有建材調査者すべての建築物(一般・一戸建てよりも高度な資格)
工作物石綿事前調査者建築物以外の工作物(2026年1月1日施行・石綿障害予防規則改正)

調査結果は調査記録として3年間保存する義務があります。

レベル1~3で何が変わるのか、数字が小さいほど危険な理由

石綿含有建材は飛散性の高さに応じてレベル1~3に分類されます。ここは非常に混乱しやすいところですね。

レベルが低いほど危険性が高いという点が直感と逆なので注意が必要です。

レベル別の建材分類と飛散性

レベル建材の種類飛散性
レベル1吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール高い(最も危険)
レベル2石綿含有保温材・断熱材・耐火被覆材(配管の保温材等)中程度
レベル3石綿含有成形板(スレート板・天井材・床材・ボード類等)低い(破砕時に飛散)

レベル1・2の建材の除去作業は規制が最も厳しく、隔離養生・負圧除塵装置の設置・専用防護服の着用等が必要です。

平たくいえば、「吹きつけているもの(レベル1)は触れただけで飛ぶが、板材(レベル3)は割らなければ飛ばない」という違いです。

石綿含有建材の事前調査義務と調査者の資格要件は、公共建築改修工事標準仕様書(下図)の1.5.1節に示されています。

公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版 1.5.1 石綿含有建材の事前調査
出所:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 p.8 1.5.1 石綿含有建材の事前調査(関係法令に基づく調査義務・調査者の資格要件が規定されている)

工事前に14日前までに届出が必要な理由とは

レベル1・2の特定建築材料を含む建築物の解体・改修工事(特定粉じん排出等作業)を行う場合は、次の届出が必要です。

項目内容
届出先都道府県知事等(政令市は市長)
届出期限作業開始の14日前まで
届出者発注者(元請業者に委任可)

届出には事前調査の結果・施工方法・除去した石綿廃棄物の処理方法等を記載します。

14日前という期限は、行政が内容を確認し、不備があれば是正指導できる時間を確保するためです。レベル3の作業は大気汚染防止法の届出対象外ですが、石綿障害予防規則に基づく管理が別途必要です。

工事前に何を確認しないと取り返しがつかないか

管理人からのコメント

石綿事前調査は改修・解体前に義務付けられており、調査結果の記録・保管・報告が必要です。2023年10月以降は建築物石綿含有建材調査者(一般・一戸建て等・特定の区分がある)が実施し、結果に基づいて除去工法を選定します。

石綿含有が判明したら解体前に届出(特定建設作業)も必要になる場合があります。

石綿含有建材の除去工法と安全管理の規定は、同仕様書(下図)の9.1節に定められています。

公共建築改修工事標準仕様書 令和7年版 9.1節 石綿含有建材の除去工事
出所:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 p.280 9.1節 石綿含有建材の除去工事(大気汚染防止法・労働安全衛生法に基づく除去工法・安全管理の規定)

混同しやすい用語の整理

レベル1 vs レベル3(危険度の順序)

石綿建材のレベルは数字が小さいほど危険(飛散性が高い)です。レベル1(吹付け石綿)が最も危険で厳格な規制があり、レベル3(スレート等の成形板)は破砕しなければ飛散しにくいため規制が比較的緩やかです。

「レベルが高い=危険」と誤解しやすいので注意しましょう。

大気汚染防止法の届出 vs 石綿障害予防規則の調査義務

石綿障害予防規則に基づく事前調査義務はすべての解体・改修工事に適用されます(労働安全衛生法の系統)。大気汚染防止法に基づく届出義務はレベル1・2を含む工事のみに適用されます(環境法の系統)。

目的・届出先・対象範囲が異なる別々の制度です。

一問一答

Q.

2023年10月以降、建築物の石綿事前調査を実施できるのはどのような者か?

建築物石綿含有建材調査者(一般・一戸建て等・特定の区分がある)の資格を持つ者。

Q.

大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業の届出期限は?

作業開始の14日前まで。

(出題例:1級令和3年 午前 問43)

Q.

石綿含有建材のレベル1とはどのようなものか?

吹付け石綿・石綿含有吹付けロックウール(飛散性が最も高く、最も危険)。

Q.

石綿事前調査の結果はどのくらいの期間保存する義務があるか?

3年間。

Q.

特定粉じん排出等作業の届出先はどこか?

都道府県知事等(政令市は市長)。

Q.

石綿含有成形板(スレート板・天井ボード等)は石綿含有建材のどのレベルに該当するのか?

レベル3(飛散性は低いが破砕すると飛散する可能性がある)。

まとめ

特定建設作業と騒音規制法・振動規制法とは?を確認する

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?を確認する

石綿(アスベスト)事前調査の義務を確認する

法規の施工管理ポイントは法規にまとめています。

参考資料

・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)

・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)

・クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)

・厚生労働省 職場のあんぜんサイト

けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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