けんせつる
鉄骨ブレースって斜めに入っている部材だよね?施工管理でどこを確認すればいいの?
この記事の要点
鉄骨ブレースは、鉄骨架構の柱と梁で構成された矩形フレームに斜めに入れて水平力(地震・風圧)に抵抗させる部材です。
施工管理上の確認ポイントは設置位置・形状の設計図との照合・接合部の高力ボルト締め付け確認・溶接検査の3点です。ブレースの接合部は応力集中が大きい箇所のため、高力ボルトの締め付け管理を特に注意します。
ブレースは設計図に位置・形状が指定されており、現場での設置確認と接合部の品質管理が施工管理の主な業務になります。
ブレースは形状・断面形状によって分類されます。施工管理では設計図書で指定されている種類を確認することが最初のステップです。
| 種類 | 特徴 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| 山形鋼(アングル)ブレース | L形断面の鋼材を使用。コンパクトで納まりやすい | 小規模建物・軽い水平力 |
| 平鋼(フラットバー)ブレース | 薄い板状の鋼材。圧縮力に弱いため引張専用として用いることがある | X型(たすき掛け)ブレース |
| 鋼管ブレース | 円形・角形の鋼管を使用。圧縮・引張両方に対応 | 大規模建物・大きな水平力 |
| H形鋼ブレース | H形断面。剛性が高い | 大スパン・重大な水平力が想定される建物 |
X型(たすき掛け)ブレースは引張専用の平鋼を2本交差させたもので、地震のどちらの方向にも対応できます。施工管理では設計図の「ブレース記号」と現場の断面形状が一致しているかを確認します。
設置位置の確認は次の手順で行います。
例えば、建物の外周フレームにはブレースが入るが中間フレームには入らない、という設計が多くあります。この場合、「なぜここにブレースがないのか」が設計図で確認できていないと、抜けているのか設計通りなのかが現場では判断できません。
ブレースの接合部は応力集中が生じる箇所のため、品質確認が特に重要です。
ガセットプレートにボルト孔がある場合、孔の数・ピッチ・端距離が設計図通りであることを鉄骨工場から出荷前に確認しておくことが現場での手戻りを防ぎます。
混同しやすい用語の整理
どちらも斜め材として水平力に抵抗する部材だが、材料・接合方法・設計基準が異なる。鉄骨ブレースは鋼材で高力ボルト・溶接接合。木造の筋かいは木材で金物接合。施工管理の確認内容も異なる。
ブレースは斜め材による線的な水平力抵抗要素。耐力壁はRC造のコンクリート壁や木造の構造用合板など面的な水平力抵抗要素。設置位置・範囲・施工管理の確認内容が異なる。
鉄骨ブレースの役割は何か?
鉄骨架構に斜めに設置して、地震・風圧などの水平力に抵抗する。ブレースがない純ラーメン架構と異なり、ブレース架構は水平剛性が高い。
ブレースの接合部で施工管理者が確認すべき事項は何か?
高力ボルト接合の場合はピンテール破断または軸力確認・全数マーキング確認。溶接接合の場合は外観検査(アンダーカット・割れなど)・必要に応じて超音波探傷検査。ガセットプレートのサイズ・ボルト孔の配置が設計図と一致しているかも確認する。
X型(たすき掛け)ブレースとはどういうものか?
引張専用の平鋼(フラットバー)を2本、フレーム対角に交差させて設置したブレース。地震のどちらの方向にも引張材として機能する。圧縮力は生じないため、細い断面でもよい設計になる。
> 高力ボルトとは?を確認する
> 鉄骨溶接の施工管理とは?を確認する
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考資料
・JASS 6 鉄骨工事(日本建築学会)
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)第7章 鉄骨工事
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
ブレースで気をつけたい問題として「建方後にブレースの端部が設計図のガセットプレート位置に届かない」ケースです。
鉄骨の製作誤差・建方誤差が重なって、ブレースが取り付けられない状態になってしまいます。建方精度管理と鉄骨製作図のチェックを事前に行うことが大切です。
また「ブレースのボルトが仮締めのままで本締めされていない」という見落としも起きます。建方中は仮ボルトで取り付けるため、本締め完了の管理表で全数チェックしないと抜けが生じます。