けんせつる
FRP防水ってどうやって施工するの?ガラスマットは何枚貼って、トップコートは何のために塗るの?
この記事の要点
FRP防水とは、ガラスマットに防水用ポリエステル樹脂を含浸・積層して硬い防水層をつくる塗膜防水のことです。
施工は「プライマー塗り → 樹脂塗り → ガラスマット#380張付け(2層)→ 樹脂塗り → トップコート塗り」の順で進みます(JASS 8 標準のL-FF仕様)。防水層の厚さは平場で約2.5mmが目安です。
FRP防水は住宅のバルコニーや駐車場の床防水工事でよく使われる塗膜防水です。
硬くて強い防水層が特徴で、施工の良し悪しは「ガラスマットの積層」と「樹脂・トップコートの塗布」で決まります。では工程を順に見ていきましょう。
日本建築学会のJASS 8では、FRP系塗膜防水の標準をL-FF仕様(密着仕様)として定めています。工程は次の順序です。
| 順序 | 工程 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 下地処理 | ケレン・清掃・乾燥確認。出隅入隅を面取りする |
| ② | プライマー塗り | 下地と防水層を密着させる下塗り |
| ③ | 防水用ポリエステル樹脂塗り | ガラスマットを貼る前に樹脂を塗る |
| ④ | ガラスマット#380張付け(2層=2プライ) | マットを敷き、ローラーで樹脂を含浸させ気泡を抜く |
| ⑤ | 防水用ポリエステル樹脂塗り | マット上にさらに樹脂を塗り重ねて防水層をつくる |
| ⑥ | トップコート(仕上塗料)塗り | 硬化・研磨後、表面保護のトップコートを塗る |
防水層の厚さの目安は、平場で約2.5mm、立上りで約2mmです。一般部はガラスマット2層(2プライ)の積層が標準で、強度が必要な箇所はさらに層を増やします。
簡単に言えば、FRP防水は「ガラスマットを樹脂で固めて、現場で1枚の硬い殻をつくる」工法です。浴槽やボートをガラス繊維と樹脂で成形するのと同じ仕組みを、床の上で作るイメージに近いですね。
FRP防水のプライマー塗りから防水用ポリエステル塗りまでの施工手順は、FRP防水材工業会の資料(下図)に示されています。
FRP防水層(ポリエステル樹脂)は紫外線に弱いという弱点があります。樹脂がむき出しのままだと、紫外線で表面が劣化して色あせ・チョーキング(白亜化)・ひび割れが進みます。
そこで最後にトップコート(仕上塗料)を塗り、防水層そのものを紫外線から守ります。
ザックリ言えば、トップコートは「防水層の日焼け止め」ということです。トップコートは防水層より先に傷むため、防水層が健全でも定期的に塗り替えて保護を維持します。
FRP防水は硬くて耐摩耗性が高いため、人が歩く・物を置く部位に向いています。
逆に、温度変化で大きく伸縮する広い屋上スラブにFRP防水を使うと、硬い防水層が下地の動きに追従できずひび割れるため不向きです。大面積や改修では追従性の高いウレタン防水が選ばれます。
FRP防水の適用部位は、FRP防水材工業会の資料(下図)に示されています。
| 項目 | FRP防水 | ウレタン防水 |
|---|---|---|
| 防水層の性質 | 硬い・剛性が高い | 弾性がある・柔軟 |
| 追従性 | 低い(変形に追従しにくい) | 高い(変形に追従しやすい) |
| 耐摩耗性 | 高い(歩行・車載荷重に耐える) | トップコートで保護が必要 |
| 向いている部位 | ベランダ・駐車場・小面積屋上 | 屋上・大面積防水・改修工事 |
| 施工速度 | 速い(樹脂の硬化が速い) | 各層の硬化に時間がかかる |
ザックリ言えば、「硬さが必要な小面積にFRP、柔軟性が必要な大面積にウレタン」という使い分けです。
混同しやすい用語の整理
どちらも塗膜防水ですが、FRP防水は硬くて強い(剛性型)、ウレタン防水は柔軟で追従性が高い(弾性型)です。「硬い=ベランダ・駐車場向き」「柔軟=大面積屋上・改修向き」と整理しましょう。
防水層はガラスマットと樹脂でつくる水を止める本体。トップコートはその上を紫外線から守る保護層です。トップコートが傷んでも防水層が無事なら、塗り替えで保護を回復できます。
FRP防水の標準的な施工工程の順序は?
下地処理 → プライマー塗り → 防水用ポリエステル樹脂塗り → ガラスマット#380張付け(2層)→ 樹脂塗り → トップコート塗り(JASS 8 L-FF仕様)。
FRP防水のガラスマットは一般部で何プライ積層するか?
一般部は2層(2プライ)が標準。防水層の厚さの目安は平場で約2.5mm、立上りで約2mm。
FRP防水でトップコートを塗る理由は?
FRPの樹脂は紫外線に弱く、むき出しだと劣化するため。トップコートで防水層を紫外線から保護し、傷んだら塗り替えて保護を維持する。
下地が湿潤な状態でFRP防水を施工するとどうなるか?
硬化不良・膨れ・剥離が生じる。コンクリートは乾燥養生(目安28日以上)と含水率を確認してから施工する。
防水工事の種類と施工管理は防水・シーリングにまとめています。
> ウレタン防水の特徴を確認する
> 塗膜防水の種類を確認する
参考資料
・JASS 8 防水工事(日本建築学会)FRP系塗膜防水 L-FF仕様
・FRP防水材工業会(FBK)「FRP塗膜防水工法とJASS8基準の概要」
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省
※ この記事の確認日:2026年6月
管理人からのコメント
FRP防水で一番問題になりやすいのは下地の含水です。「乾いて見えても内部が湿っている」状態で施工して膨れが出る、という話を現場でよく聞きます。打設からの養生期間と含水率計の数値を必ず押さえてください。
トップコートは防水層より先に傷む消耗層です。トップコートの塗り替えを「防水のやり直し」と混同せず、保護層の更新として計画的に行うのが管理のコツです。