けんせつる
ウレタン防水ってどんな手順で施工するの?膜厚ってどうやって管理するんだろう?
この記事の要点
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を塗り重ねて、継ぎ目のない弾性のある防水層をつくる塗膜防水のことです。
施工は「下地処理 → プライマー → ウレタン樹脂を複数層 → トップコート」の順で進み、膜厚は材料の使用量で管理します。下地への接着方法で密着工法と通気緩衝工法に分かれます。
ウレタン防水は改修工事で最もよく使われる防水工事の一つです。液状なので複雑な形状にも追従でき、継ぎ目のない防水層をつくれます。
施工の良し悪しは「各層をきちんと硬化させながら所定の膜厚を確保できるか」で決まります。では工程を順に見ていきましょう。
ウレタン防水の基本工程は次のとおりです。下地への接着方法(密着工法/通気緩衝工法)で序盤が変わります。
| 順序 | 密着工法 | 通気緩衝工法 |
|---|---|---|
| ① | 下地処理(ケレン・清掃・乾燥確認) | |
| ② | プライマー塗布 | 通気緩衝シート張付け+脱気筒の設置 |
| ③ | ウレタン樹脂 1層目 塗布・硬化 | プライマー塗布/ウレタン樹脂塗布 |
| ④ | ウレタン樹脂 2層目(必要に応じ3層目)塗布・硬化 | ウレタン樹脂を複数層 塗布・硬化 |
| ⑤ | トップコート(仕上塗料)塗布 | |
密着工法は下地に直接塗り重ねる方式、通気緩衝工法は通気緩衝シートを挟んで下地と絶縁し、脱気筒で水蒸気を逃がす方式です。脱気筒が必要なのは通気緩衝工法だけで、密着工法では使いません。工法の使い分けの詳細は密着工法と通気緩衝工法の違いで整理しています。
簡単に言えば、ウレタン防水は「液体のゴムを塗り重ねて、現場で継ぎ目のない一枚のゴム膜をつくる」工法です。塗り重ねた層がつながって、屋上やバルコニーの形にぴったり沿った防水膜になるイメージですね。
ウレタン系塗膜防水の密着工法・通気緩衝工法それぞれの工程は、公共建築工事標準仕様書(下図)に示されています。
ウレタン防水の性能と寿命は、防水層の厚さ(膜厚)で決まります。ただし塗膜は塗ってしまうと厚さを直接測りにくいため、膜厚は材料の使用量で管理するのが基本です。
JASS 8では、1工程あたりの使用量を平場で2.5kg/m2以下、立上りで1.5kg/m2以下とし、これを複数工程重ねて所定の膜厚を確保するよう定めています。
1回で厚く塗ると硬化不良・しわ・ふくれの原因になるため、薄く複数回に分けて塗り重ねるのが原則です。施工管理では「規定の使用量を使い切っているか(缶数・面積から逆算)」を確認します。
ウレタン防水層は露出防水で、樹脂が紫外線に弱いという弱点があります。むき出しのままだと紫外線で表面が劣化するため、最後にトップコート(仕上塗料)を塗って防水層を保護します。
ザックリ言えば、トップコートは「防水層の日焼け止め」ということです。トップコートは防水層より先に傷む消耗層なので、定期的に塗り替えて保護を維持します。
| 工法 | 特徴 | 適した状況 |
|---|---|---|
| 密着工法 | 下地に直接ウレタンを塗り重ねる。下地全面に接着 | 新築・下地が乾燥して良好な場合 |
| 通気緩衝工法 | 通気緩衝シートで絶縁し、脱気筒で水蒸気を排出 | 改修工事・下地に水分が多い場合 |
ザックリ言えば、下地に水分が残る改修工事は通気緩衝工法、乾いた新築下地は密着工法ということです。詳しい使い分けは密着工法と絶縁工法の違いも参考にしてください。
混同しやすい用語の整理
どちらも塗膜防水ですが、ウレタン防水は弾性があり複雑形状・大面積・改修に向く、FRP防水は剛性が高く強度が必要な部位(ベランダ床・駐車場)に向きます。
膜厚は防水層の厚さそのもの。使用量は単位面積あたりに塗った材料の量(kg/m2)です。塗膜は厚さを直接測りにくいため、使用量で膜厚を間接的に管理します。
ウレタン防水の膜厚は何で管理するか?
材料の使用量(kg/m2)で管理する。塗膜は厚さを直接測りにくいため、規定の使用量を複数工程重ねて所定の膜厚を確保する。
ウレタン防水を1回で厚く塗るとどうなるか?
硬化不良・しわ・ふくれの原因になる。薄く複数回に分けて塗り重ねるのが原則。
通気緩衝工法で脱気筒を設置する目的は?
通気緩衝シートの通気層に溜まった下地の水蒸気を排出し、防水層のふくれを防ぐため。脱気筒は通気緩衝工法のみで使う。
ウレタン防水でトップコートを塗る理由は?
ウレタン防水層は露出で紫外線に弱いため、保護するトップコートを塗る。傷んだら塗り替えて保護を維持する。
防水工事の種類と施工管理は防水・シーリングにまとめています。
> 密着工法と通気緩衝工法の違いを確認する
> FRP防水との違いを確認する
参考資料
・JASS 8 防水工事(日本建築学会)ウレタンゴム系塗膜防水
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省 表9.5.1
※ この記事の確認日:2026年6月
管理人からのコメント
ウレタン防水でいちばん多いトラブルは「膜厚不足」です。見た目は塗れていても、使用量が足りないと規定の厚さに届かず、早期に劣化します。缶数と面積から使用量を逆算して確認するのが確実です。
高湿度や下地の水分でピンホール・ふくれが出やすいので、施工日の天候と下地の乾燥を必ず押さえてください。