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メンブレン防水とシーリング防水の違い|種類と施工管理のポイント

けんせつる

けんせつる

メンブレン防水って、ウレタンとかシートとは別の工法なの?

この記事の要点

メンブレン防水とは、面状に連続した不透水の被膜(膜)をつくって水の浸入を防ぐ防水の総称です。特定の1工法の名前ではなく、アスファルト防水シート防水塗膜防水(ウレタン・FRP)がすべてこの仲間に含まれます。

目地などを線状に埋めるシーリング防水とは「面で守るか・線で守るか」が違います。施工管理では下地処理・立上り端部・水張り試験の確認が要点です。

「メンブレン防水」と聞くと、ウレタンやシートとは別の特別な工法だと思ってしまう人がいます。

ところが、これは工法の名前ではありません。なぜかというと、複数の防水工法をまとめて呼ぶ総称だからです。

メンブレン防水とはどんな防水なのか

メンブレン(membrane)とは「膜」という意味です。

つまりメンブレン防水とは、屋根・屋上・バルコニーなどの面に、水を通さない連続した被膜(防水層)をつくって面全体を覆う防水方法のことなんです。

この被膜をどんな材料・どんなやり方でつくるかによって、いくつかの工法に枝分かれします。アスファルトを重ねるもの、シートを貼るもの、液体を塗って膜にするもの、これらはやり方が違うだけで「面を被膜で覆う」という考え方は同じです。

アスファルト防水・改質アスファルトシート防水・合成高分子系シート防水・塗膜防水の各工法の適用範囲は、公共建築工事標準仕様書(下図)に示されています。これらがまとめてメンブレン防水にあたります。

国土交通省 公共建築工事標準仕様書建築工事編令和4年版 防水工事一般事項各種工法適用範囲
出所:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版」(2022年3月)p.90 9.1.1 一般事項(アスファルト防水・改質アスファルトシート防水・合成高分子系ルーフィングシート防水・塗膜防水・シーリング工事の各工法の適用)

ザックリ言えば、メンブレン防水とは「面を被膜で覆う防水ぜんぶ」をまとめた呼び名ということです。

メンブレン防水 = 面状防水の総称

アスファルト防水 改質アスファルトシート防水 シート防水 塗膜防水(ウレタン・FRP)

↑ これらをまとめて呼ぶ大きなくくりが「メンブレン防水」

メンブレン防水にはどんな種類があるのか

メンブレン防水に含まれる主な工法は次のとおりです。

工法被膜のつくり方特徴主な適用部位
アスファルト防水ルーフィングを複数層重ねる高耐久・信頼性が高い。熱を使う工法あり。大規模建物の屋上・地下外壁
改質アスファルトシート防水改質アスファルトシートを貼るトーチで溶かして貼る。臭気が少ない。屋上・改修工事
シート防水塩ビ・ゴムシートを貼る施工が速い。機械固定で既存の上にも施工可。屋上・屋外廊下
ウレタン防水(塗膜)液状樹脂を塗って膜にする継ぎ目なし・複雑形状に対応。改修に多用。屋上・バルコニー・改修
FRP防水(塗膜)ガラス繊維+樹脂で膜にする硬く強い。耐荷重性が高い。大面積に不向き。ベランダ・駐車場床

同じメンブレン防水の仲間でも、工法ごとに得意分野は違います。大まかな傾向を評価で並べると次のとおりです。

工法耐久性経済性施工性改修向き
アスファルト防水
改質アスファルトシート防水
シート防水
ウレタン塗膜防水
FRP塗膜防水

※ ◎=優れる/○=普通/△=やや劣る・条件次第。製品・下地・施工条件で変わる一般的な目安です。

このように、被膜を「重ねる・貼る・塗る」のどれでつくるかで工法が分かれます。どれを選ぶかは部位・面積・新築か改修かで決まります。種類ごとの選び方は防水工事の種類で詳しく整理しています。

例えば、配管が密集した屋上の改修では、シートを切り張りするより塗膜防水のほうが膜を連続させやすく、確実に仕上げられることが多いです。

メンブレン防水とシーリング防水はどう違うのか

メンブレン防水とよく対比されるのがシーリング防水です。両者は守る範囲のかたちが違います。

ザックリ言えば、面を守るのがメンブレン防水、線(目地)を守るのがシーリング防水ということです。

ここは混同しやすいところですね。実際の建物では、屋上は面のメンブレン防水で、外壁の目地は線のシーリング防水で、というように両方が役割分担して使われています。どちらかが優れているという話ではないわけです。

施工管理で何を確認しなければならないか

メンブレン防水は仕上げ材や保護層の下に隠れてしまいます。そのため施工中の確認が特に重要です。

下地処理

下地処理は、被膜を密着させる土台づくりです。

下地に汚れ・油分・ひび割れ・水分が残っていると、膜の密着不良や膨れ・剥離の原因になります。

プライマー

プライマーは下地と防水材の接着を高める下地処理材です。

工法ごとに対応するプライマーが決まっているので、材料に合ったものを使っているか確認しましょう。

立上り・端部処理

防水層の立上り(パラペット・ドレン周り)は、面と面の境目で漏水が起きやすい部位です。

立上り高さと端部の押えが適切かを確認します。報告されている漏水の多くは、この端部の納まり不良が起点になります。

水張り試験

防水層が完成したら、水張り試験で漏水がないかを確認します。

24~48時間程度の湛水試験が標準的なやり方です。

管理人からのコメント

メンブレン防水は1つの工法名だと勘違いされがちですが、実際は面状防水の総称です。覚え方は「メンブレン=面、シーリング=線」でOKです。図面に「メンブレン防水」とだけある場合は、アスファルト・シート・塗膜のどれを指すのか、設計図書とメーカー仕様書で必ず特定してから着手してください。

面の被膜は、平場よりも立上り・ドレン・貫通部などの「端部」で切れやすいのが共通の弱点です。検査はまず端部の納まりから見るのが定石です。

混同しやすい用語の整理

メンブレン防水 vs シーリング防水

メンブレン防水は面を連続した被膜で覆う防水の総称、シーリング防水は目地などの線状のすき間を充填材で埋める防水です。守る範囲が「面」か「線」かが最大の違いです。

メンブレン防水 vs アスファルト防水

アスファルト防水はメンブレン防水の一種です。並列の別工法ではなく、メンブレン防水という大きなくくりの中にアスファルト防水・シート防水・塗膜防水が含まれる、という上下の関係です。

一問一答

Q.

メンブレン防水とは特定の1工法の名前か?

いいえ。面を被膜で覆う防水の総称で、アスファルト防水・シート防水・塗膜防水が含まれる。

Q.

メンブレン防水とシーリング防水の最大の違いは?

守る範囲が面(メンブレン)か線・目地(シーリング)かの違い。

Q.

メンブレン防水で漏水が起きやすい部位はどこか?

立上り・ドレン・貫通部などの端部。検査はまず端部の納まりから確認する。

まとめ

防水工事の種類と施工管理は防水・シーリングにまとめています。

参考資料

・JASS 8 防水工事(日本建築学会)

・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省

・JIS A 6021 建築用塗膜防水材

けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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