R=35mm・切断面の確認方法・ノンスカラップ工法との違いと施工管理のポイントを解説します。"> R=35mm・切断面の確認方法・ノンスカラップ工法との違いと施工管理のポイントを解説します。">
けんせつる
スカラップって製作図でよく見るけど何のための切り欠き?ノンスカラップとどう違うの?施工管理ではどこを確認するの?
この記事の要点
スカラップは、H形鋼の梁フランジとウェブの交差部(コーナー)に設ける扇形の切り欠きです。溶接ビードを連続させるために設けます。JASS 6 では標準半径R=35mmが規定されています。
施工管理では切断面の仕上げ状態(ノッチ・粗さがないか)と設計図書でノンスカラップ工法が指定されていないかの確認が主なポイントです。搬入検収時に製作図と照合して確認します。
スカラップは製作段階で加工される部位のため、搬入後に修正が困難です。検収時の確認が重要なわけです。
H形鋼の梁フランジとウェブが交わるコーナー部分に、溶接線が集中すると残留応力が高まります。
ここに扇形の切り欠き(スカラップ)を設けることで、溶接ビードをコーナー部を避けて連続させることができるわけです。スカラップがない状態でコーナーに溶接が集中すると、熱影響による欠陥が生じやすくなります。
ザックリ言えば、「溶接が交差する部分をあらかじめ切り欠いて、溶接線の干渉を避ける」のがスカラップの目的です。
JASS 6(鉄骨工事、日本建築学会)では、スカラップの標準的な寸法は次の通りです。
「スカラップの半径はR=35mm」という数値はJASS 6 に根拠があります。
| 項目 | スカラップ工法 | ノンスカラップ工法 |
|---|---|---|
| 切り欠きの有無 | あり(R=35mm) | なし |
| 溶接の連続性 | スカラップで引き回す | 特殊な溶接順序で連続させる |
| 耐震性 | 切り欠き部が地震時の応力集中点になりうる | 応力集中が少なく靭性が高い |
| 施工難易度 | 比較的容易(標準工法) | 高い技術が必要 |
| 主な採用部位 | 一般的な梁継手・接合部 | 耐震性が特に重要な柱梁接合部 |
阪神・淡路大震災(1995年)後の調査で、スカラップ部を起点とした脆性破壊が報告されました。これを受け、耐震性を重視する柱梁接合部ではノンスカラップ工法が採用されるようになったということです。
設計図書にノンスカラップ工法の指定がある場合は、スカラップを設けてはいけません。設計者の意図を確認しましょう。
スカラップに関する施工管理の確認は、主に製作図の確認と搬入検収時に行います。
例えば、設計図書では「柱梁接合部はノンスカラップ工法」と指定されているのに、製作工場がスカラップを設けたまま製作してしまうケースがあります。搬入前に製作図を確認し、製作図と現物が一致しているかを照合しましょう。
混同しやすい用語の整理
スカラップは梁フランジとウェブの交差部に設ける切り欠きで、溶接線の干渉を避けることが目的。エンドタブは溶接の始端・終端部に仮付けする当て板で、溶接始終点での欠陥(クレーター・割れ)を防ぐことが目的。どちらも溶接品質を確保するための補助手段だが、目的と設置箇所が異なる。
スカラップは溶接線の干渉を避けるために母材を切り欠いたもの。開先は完全溶込み溶接を行うために母材端部に設ける溝(V形・K形など)。スカラップは交差部の処理、開先は溶接断面の形状という違いがある。
JASS 6 によるスカラップの標準半径はいくらか?
R=35mm。スカラップはH形鋼の梁フランジとウェブの交差部に設ける扇形の切り欠きで、溶接ビードを連続させるために設ける。切断面は平滑に仕上げることが必要。
ノンスカラップ工法はなぜ採用されるのか?
スカラップ部が地震時の応力集中点となり脆性破壊の起点になりうるため。阪神・淡路大震災後の研究で明らかになった。耐震性が特に重要な柱梁接合部に採用される。
スカラップ切断面のノッチが問題になる理由は何か?
ノッチ(鋭い切り込み)が残ると地震時に応力集中が生じ、脆性破壊の起点になりうる。溶接後は確認できなくなるため、搬入時・溶接前の目視確認が必須。不良があれば補修を要求する。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
この用語が問われた過去問
参考資料
・JASS 6 鉄骨工事(日本建築学会)工場製作の節
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)第7章 鉄骨工事
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
スカラップで最も多いトラブルは「切断面にノッチが残ったまま溶接してしまう」ケースです。
ガス切断面が粗い状態のまま搬入されてくることがあります。
ノッチは地震時の破断起点になるため、溶接前に切断面を確認して不良があれば補修をさせることが重要です。溶接後は隠れてしまうので、見逃すと後から手を打てません。
もう一つは「ノンスカラップ指定の見落とし」です。
設計図書の仕様書に記載されていても、製作図確認時に見落として通常のスカラップが設けられてしまう事例があります。図面確認チェックリストにノンスカラップ指定箇所の確認を必ず入れておきましょう。