けんせつる
NATM・シールド工法・推進工法って全部トンネルを掘る工法?何が違うの?試験でどう覚えればいい?
この記事の要点
地中を掘るトンネル工法には主に3種類あります。NATMは山岳・岩盤トンネルで地山の強度を活かす工法、シールド工法は都市部の大断面地下トンネルに使う工法、推進工法は小~中径の管路を非開削で設置する工法です。
3工法はそれぞれ特徴・適用範囲・使い分けが明確に異なります。
3工法はいずれも「地中を掘る」工法ですが、規模・地盤条件・用途が大きく異なります。整理して覚えましょう。
| NATM | シールド工法 | 推進工法 | |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 山岳トンネル・岩盤掘削 | 都市部の地下鉄・大径管路 | 下水道・雨水・電線管などの小~中径管路 |
| 断面規模 | 大~超大断面も可能 | 大断面(φ3m以上が多い) | 小~中径(φ200~3000mm程度) |
| 地盤条件 | 岩盤・硬質地盤 | 軟弱地盤・都市部地下 | 軟弱~普通地盤 |
| 覆工方法 | 吹付コンクリート+ロックボルト | セグメント(プレキャスト部材) | 既製推進管をそのまま使う |
| 発進方法 | 坑口から掘進 | 発進立坑からシールド機を推進 | 発進立坑から油圧ジャッキで推進 |
ザックリ言えば、「山を掘るのがNATM、都市の地下大深度を掘るのがシールド、道路下の小さな管を通すのが推進工法」です。
NATM(New Austrian Tunnelling Method)は地山(岩盤)が持っている強度を活かして掘り進む工法です。
掘削直後に吹付コンクリート(ショットクリート)とロックボルトで壁面を固定し、地山自体を構造体の一部として利用します。山岳のトンネル・地下空洞・斜坑などに使われます。
施工管理では地山の変位・沈下を計測器でモニタリングしながら掘進速度を管理することが重要です。
シールド工法は鋼製の筒(シールド機)を回転させながら掘削し、後方でセグメントを組み立てて覆工する工法です。
都市部の軟弱地盤・地下水位が高い場所でも安全に施工できるのが特徴です。地下鉄・幹線道路トンネル・大径の下水道幹線などに使われます。
施工管理では地上の沈下モニタリング・セグメントの組み立て精度・止水性の確認が重要です。
使い分けのポイントは次の通りです。
例えば、都市部の幹線下水道でφ1500mmの管を設置する場合、シールド工法か推進工法かの選択になります。φ3000mm以下であれば推進工法が選ばれることが多いです。
混同しやすい用語の整理
NATMは地山の強度を積極的に利用して吹付コンクリート・ロックボルトで支保する工法。在来工法(山岳工法)は木材や鋼製支保工を組んで地山を支える旧来の工法。NATMは在来工法の改良版として普及した。
シールド工法は地表を掘らずに地中を掘進する非開削工法。開削工法は地表から溝を掘って構築する工法。都市部の深い場所ではシールド工法が選ばれる。
NATMが最も適している地盤条件はどれか?
岩盤・硬質地盤(山岳地帯)。地山自体の強度を利用して吹付コンクリートとロックボルトで支保するため、ある程度の地盤強度が必要。軟弱地盤・都市部地下にはシールド工法が適する。
シールド工法と推進工法の覆工方法の違いは何か?
シールド工法はセグメント(プレキャストコンクリートや鋼製の分割部材)を現場で組み立てて覆工する。推進工法は既製の推進管(コンクリート管・鋼管など)を押し込む形式で、管自体が覆工を兼ねる。
都市部でφ600mmの下水道管を道路の下に設置する場合、どの工法が適するか?
推進工法。φ600mmは推進工法の適用範囲内(φ200~3000mm程度)で、道路を開削せずに施工できるため交通への影響が少ない。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> NATM工法とは?を確認する
> シールド工法とは?を確認する
> 推進工法とは?を確認する
参考資料
・土木学会「トンネル工学」
・建設省「地下空間利用技術指針」
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
混同しやすいのは「シールド工法と推進工法の使い分け」です。
どちらも非開削で地中に管路を構築しますが、断面規模と管の構築方法が違います。シールド工法は大断面・セグメント組み立て、推進工法は小~中径・既製管を押し込む、という違いを押さえておくと混乱しません。
現場では「推進工法で道路の下に下水道管を通す」という仕事が比較的よくあります。立坑工事から推進管理まで、施工管理者が直接関わる場面が多い工法です。